2024-04-11

新緑

朝、サロンの開店準備をした時の話。

この日は続いていた雨や曇りが急に快晴になって窓を昨年の秋ぶりに全開にした。

店前の通りには大きな杉の木が2本と、いちょう並木がある。さらに線路の向こう側には種類は分からないが落葉樹がある。

5階の店舗から久々にゆっくり外を眺めた。

ついこの前まで何も無かった枝に若い葉が芽をだしていた。そんな些細な事に気づくと昨日より外の空気が良い気がする。

今年は都内の桜の開花が遅かったらしい。

自分としては何の影響もないが「春の訪れ」を感じるのは、この新緑の方かもしれない。

田舎に居た頃、道端で自生している草や葉っぱに触れた時に残る匂いを今でも覚えている。

私が育った町は、畑や田んぼが多い地域で下校時に「ちょっと近道するで」とか言って、道路から飛び降りて畑を斜めに歩いたりしていた。

そんな頃にやっていた遊びの一つが「休ませている畑の草を四角に踏みつけて部屋のようにする」ことだった。

とにかく黙々と足で四角に草を踏みつけて、一緒にいる友達より大きなスペースを作りたい一心で励む。

でも結局は子供の足なので中々難しく、途中で疲労と単純作業に飽きてしまい横になってゴロゴロする。

その横になって真下からダイレクトに感じる草の匂い。

水分を含んで青々とした草が千切られ溢れ出る匂い。

そんな匂いを店前にたたずむ木の新緑から引き出してしまう。

当時、全くしらない誰かの畑で「遊び」としてやり倒していたら「勝手に人の畑には入ったらいけんぞ(ダメ)」と、学校だったか近所の大人に注意されたように思う。

そして禁止されたあとからは「薬草つくろー」とか言って、色々な草を集めて石で潰す高度な遊びに続いた件については、また今度にしようと思う。