つい先日、銀行のATMに並んでいて順番が来たので前に向かうとスマホが置いたままになっていた。
今回はそんな話で。
そのATMは、小さなスペースに入口と出口が分かれている一方通行的な導線になっていて。出口の扉を過ぎれば駅前通りになり直ぐに見失ってしまう状況だった。
そこで私は直ぐに「スマホ忘れてますよ!」と、とっさに大声で呼び止めたものの既に外に出ていたらしく持ち主は戻って来ない。
そもそも急な発見だったし、どんな人だったか上着の色のイメージが薄っすら残ってるくらいで。
自分、このまま諦めるか。
それとも外に出て人込みのなかで急に「ATMでー!スマホー!!忘れてませんかぁー!!!」と大声を張るか。
以前サロンで「俺のバリカンが盗まれた」と、穏やかではない内容の話がスタイリストからあった。
私としては「盗まれたはないんじゃないかなぁ、置き忘れたとかもあるし」と、やんわり話を聞いて言葉を返すと「あーじゃぁ、見つけてくださいよ」と、強めの申し出を受けることになった。
結局、前日本人がおいていた場所を私が探したら、バリカンが落ちていただけの出来事で。スタイリストは何事もなかったかのように去ろうとしたので、私は「人を疑う前に自分でよく探す。そして盗まれたとかゆーな」で収まった。
それ以降、そのスタイリストとのやり取りは前例があるがゆえに上手に対処できていた。
今回は、少し恥ずかしいけど知らない人のために駅前の人込みで声を張るのか、と一瞬留まる。
すると外から「スマホ忘れてませんかー?」と、状況を見ていた大学生風の青年がサラッと大声で呼びかけた。
すると「あ!私です!!」と、向こうのほうから恐縮そうに女性が駆け寄ってくる。
そこでATMの前にいる私がスマホを外の入口にいる大学生に手渡して、彼から女性が受け取りちょっとした連携プレイで解決した。
一瞬まよったけど、知らない誰かのために良いことをした気分だった。
でも、一番活躍したのは外で声を張った大学生。
そういえば、受け取る人も外でATMに並んでいる人も、大学生に「よく気付いたね」とか労いの言葉や眼差しを向けている。
そして、一連の出来事が過ぎ、ATMで隣同士になったときに「ナイス声掛け!良かったね!」なんて伝わりそうな目線と笑顔を私が送ると、大学生は何もなかったような表情で。
改めて自分の器のデカさと、声かけを迷ってはいけないと思った。