2022-05-18

交差点のコーヒーショップ

「この土地は絶対に渡さんからな」と、なにやら用地買収に歴史がありそうな縦長のコーヒーショップがある。

店は清水橋交差点の一角にあって、住友不動産の大きなビルエントランスを塞ぐような形で立っている。

店の入口からカウンターまでの通路は、人1人収まるのがやっと位で、作業スペースも小さく機能的に道具が並んでいる。

まだ私が独立前に美容室のテナント探しをしていた頃の話で、安くて立地が渋谷駅と原宿駅の間で調べていたら、坂を水平にえぐるような形の半地下の物件と出会った。広さはセット面1席とシャンプー台1台がどうにか収まるスペースだった。

頭の中で直ぐにレイアウトが出来て、お客様をお見送りする時は「またね」と足元を下から見上げてお見送りをする事になりそうだ、とぞっとした事があった。その数年後に映画で半地下のなんとかが世に現れて「あれは半地下の美容室だったんだ」と、いまもそのテナントの前を歩くと「水の流れは大丈夫か」など考えてしまう。

コーヒーショップは豆にもこだわっているらしく、3種類の特徴を店員さんから聞いて1番酸味がない豆で作ってもらった。その待ち時間に「このコーヒーショップならあの半地下の場所でもいけるかもしれない」と、半地下のコーヒーショップを想像してみたりした。

どのテナントも歴史があって、その広さになったのだと思う。このコーヒーショップは交差点のどデカいビル前に「さらり」とマッチした好事例ではないかと感心した。そして私の半地下の想像はコーヒーを飲みながらしばらく続いた。